勤務と勤務の間の時間をあける取り組みに対する助成金が創設されました。勤務間インターバルにかかる助成金について紹介します。この制度は、労働者の睡眠時間を確保し、健康障害を防止することを目的として、終業時刻から翌日の始業時刻までの間に一定の休息時間を確保するものをいいます。この勤務間インターバル制度を導入する中小企業向けの助成金制度として、職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)が創設されることになりました。

勤務インターバルとは?

勤務間インターバルとは、ヨーロッパでは既に法整備されているもので、労働時間と次の労働時間の間を一定時間以上空けることを保障するルールのことをいいます。従来の労働基準法では1回に働く時間の上限を法定労働時間として決めていることに対して、勤務間インターバルは、「働かない時間の下限を決める」制度であるといえます。

[制度概要]

労働時間等の設定の改善を図り、過重労働の防止及び長時間労働の抑制に向け勤務間インターバルの導入に取り組んだ際に、その実施に要した費用の一部を助成するもの

[支給対象となる事業主]

支給対象となる事業主は、次のいずれにも該当する事業主です。
①労働者災害補償保険の適用事業主であること
②中小企業事業主であること
③次のアからウのいずれかに該当する事業場を有する事業主であること
ア 勤務間インターバルを導入していない事業場
イ 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場
ウ 既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場
④労働時間等の設定の改善を目的とした労働時間の上限設定に積極的に取り組む意欲があり、かつ成果が期待できる事業主であること

[支給対象となる取組]

以下のいずれか1つ以上の実施が求められます。
○労務管理担当者に対する研修
○労働者に対する研修、周知・啓発
○外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
○就業規則・労使協定等の作成・変更(時間外・休日労働に関する規定の 整備など)
○労務管理用ソフトウェアの導入・更新
○労務管理用機器の導入・更新
○その他の勤務間インターバル導入のための機器等の導入・更新
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

[成果目標の設定]

支給対象となる取組は、以下の「成果目標」の達成を目指して実施することが求められます。
事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が9時間以上11時間未満、または11時間以上の勤務間インターバルを導入すること。

具体的には、事業主が事業実施計画において指定した各事業場において、以下のいずれかに取り組む必要があります。
ア 新規導入
勤務間インターバルを導入していない事業場において、事業場に所属する労働者の半数を超える労働者を対象として、休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを新たに導入する
イ 適用範囲の拡大
既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下であるものについて、対象となる労働者の範囲を拡大し、当該事業場に所属する労働者の半数を超える労働者を対象とすること
ウ 時間延長
既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場において、当該事業場に所属する労働者の半数を超える労働者を対象として、当該休息時間数を2時間以上延長して休息時間数を9時間以上とすること

[支給額]

事業の実施に要した経費のうち、謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、備品費、機械装置等購入費及び委託費を助成対象の経費とし、その合計額に補助率(4分の3)を乗じた額(以下の上限額の範囲)が助成されます。

休息時間数(※) 「新規導入」に該当する取組がある場合 「新規導入」に該当する取組がなく、
「適用範囲の拡大」又は「時間延長」
に該当する取組がある場合
9時間以上11時間未満 40万円 20万円
11時間以上 50万円 25万円

厚生労働省
「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html