[制度概要]

生産性の向上と人材不足の解消のため、生産性向上に資する人事評価制度と賃金制度を整備することを通じて生産性向上を図り、賃金アップ及び離職率の低下を実現した事業主に対し、助成が行われます。

 

[支給対象となる取組]

仕事の評価を賃金に反映させる制度を設ける必要があります。また、1年後に・・・

(1)生産性が一定程度改善している
(2)離職率が数ポイント低下している
(3)賃金が2%以上増えている

という3つを満たせば、さらに支給される仕組みです。

働き方改革の一環。旧来型人事システムの改正を通じて生産性の向上を後押しし、円滑な賃上げや離職率の低下につなげる狙いがあります。

 

人事評価制度とは

(1)労働者の生産性の向上に資する人事評価制度および賃金制度として、労働組合又は労働者の過半数を代表する者と合意していること。

(2)評価の対象と基準が明確であり、労働者に開示していること。
能力・技能・資格・行動・コンピテンシー・努力・姿勢・情意、成果・業績など、労働者個人の意思によって向上させることができることが可能な項目を対象とするものであり、年齢または勤続年数のみで評価が一義的に決定されるものでないことが必要です。

(3)評価が年1回以上行われるものであること。
(4)人事評価制度に基づく評定と、賃金(諸手当、賞与を含む)の額またはその変動の幅・割合との関係が明確で

あること。
(5)賃金表を定めているものであること。
(6) 制度を労働者に開示しているものであること。
(7) 人事評価制度の実施日の前月とその1年後の同月を比較したときに、「毎月決まって支払われる賃金」、基本

給および諸手当(時間外手当、休日手当を除く)の額が2%以上増加する見込みであること。

①または②であること

①人事評価制度の適用対象となる労働者が、新制度における人事評価において最も一般的な評定を受けた場合に、新制度の実施日の前月とその1年後の同月の賃金の総額を比較したときに、2%以上増加する見込みであること。

②人事評価制度の実施日の前月における24歳から59歳までの各年齢ごとの賃金のモデル賃金額に当該年齢の在職者の数を乗じて求めた合計額に比べて、その1年後の25歳から60歳までの各年齢ごとのモデル賃金額に当該年齢の在職者の数を乗じて求めた合計額が2%以上増加する見込みであること。

(8)人事評価制度の実施日の前月とその1年後の同月を比較し「毎月決まって支払われる賃金」の総額を2%以上増加させることについて、労働組合または労働者の過半数を代表する者と合意していること。

(9)評価時離職率の計算の際に、助成を受けようとする事業所等の評価時離職率が30%以下となっていること。

 

[支給額]

最大130万円

  • 制度整備助成

・ 生産性向上に資する人事評価制度及び賃金制度(人事評価制度等)を整備した場合、50 万円を助成
以下の2つの要件を満たすことが求められます。
(1)人事評価制度等整備計画の認定
・人事評価制度等整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受けること。

(2)人事評価制度等の整備・実施
・(1)の計画に基づき、制度を整備し、実際に正社員の方などに実施すること。

  • 目標達成助成

・ 人事評価制度等の整備から1年経過後に、生産性向上、賃金引上げ及び離職率低下の目標を達成した場合、

更に80 万円を助成
以下の3つの要件を満たすことが求められます。
(1)人事評価制度等の実施日から1年後に「生産性要件」(※1)を満たしていること
(2)(1)の人事評価制度等の実施日の属する月の前月に支払われた賃金の額と比較して、1年後に支払われ

る賃金の額が2%以上増加していること
(3)(1)の人事評価制度等の整備・実施の結果、人事評価制度等の実施日の翌日から1年を経過するまでの

期間の離職率が、人事評価制度等整備計画を提出する前1年間の離職率よりも目標値(※2)以上に低下

させること
(2)人事評価制度等の整備・実施
・(1)の計画に基づき、制度を整備し、実際に正社員の方などに実施すること。
社労士よりひとこと

この助成金の受給のポイントは以下の4点です。

生産性の向上につながる人事評価制度と賃金制度の整備

生産性の向上

賃金増加

離職率の低下

賃金表については、年功序列型ではなく、能力・評価等により決定されるものである必要があります。また、基本給の引き上げが条件ですが、その他の手当を引き下げると要件を満たしません。賃金の2%となると、例えば年収300万円の社員であれば、6万円となります。よって、ただ助成金の受給を目的にされるのであれば、おすすめはできません。

 

人事評価制度や賃金制度の構築には、多大な労力と時間が必要となります。従業員のやる気や能力がきちんと反映されるものでなければかえって、従業員のモチベーションの低下となりかねません。生産性の向上が目標達成助成には必要です。ですので、最大の130万円を受給するにはハードルも高いですし、賃金の2%アップとなるとある程度の従業員数の事業所となると、助成額よりも賃金のアップの額の方が大きくなります。また、一度作成した賃金表を変えることは不利益変更となる問題も生じます。

 

今後の労働動力人口の減少に伴い、生産性の向上は避けて通ることはできません。そのために従業員の能力を向上させ自ら考えて行動できる従業員を育成し、従業員ひとりひとりが働くことにやりがいを感じることができ、ひいては顧客をより満足させて業績の向上につなげていきたいという強い気持ちを持った経営者の方におすすめしたいです!