[制度概要]

有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者等、非正規労働者を正社員化した事業主に対する助成金です。

 

[支給額]

中小企業か、大企業かによって支給額や支給率が違います。
生産性要件の対象です。

有期正規1人当たり 57万円<生産性の向上が認められる場合72万円>
(42万7,500円<生産性の向上が認められる場合54万円>)
有期無期1人当たり 28万5,000円<生産性の向上が認められる場合36万円>
(21万3,750円<生産性の向上が認められる場合27万円>)
無期正規1人当たり 28万5,000<生産性の向上が認められる場合36万円>
(21万3,750円<生産性の向上が認められる場合27万円>)

〈①~③ 1年度1事業所当たり20人まで〉H30年度より拡張

 

[要件]

①②・・・対象となる有期契約労働者について、転換又は直接雇用される前の雇用された期間が3年以下のものに限ります。

①②③・・・対象となる労働者について、転換又は直接雇用した後の賃金が一定の割合(5%)以上増額したものに限ります

 

加算

⺟⼦家庭の等を転換等した場合。
①・・・1人当たり95,000<生産性の向上が認められる場合12万円>
②③・・・47,500(大企業も同額)加算<生産性の向上が認められる場合6万円>

・若者雇⽤促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合。
①・・・1人当たり95,000<生産性の向上が認められる場合12万円>
②③・・・47,500(大企業も同額)加算<生産性の向上が認められる場合6万円>

・ 勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定した場合。
①③・・・1事業所当たり95,000万円(71,250円)加算<生産性の向上が認められる場合12万円、9万円>

上記のほか、有期実習型訓練を修了した者を正規雇労働者等として転換または直接雇した場合、人材開発支援助成金 特別育成訓練コースに規定する額を受給できます。

 

[受給のポイント]

対象となる労働者

次の1から4までのいずれにも該当する労働者であること。

1,次のいずれかに該当する労働者であること。

・支給対象事業主に雇用(有期労働契約に限ります。)される期間が通算して6か月以上(ただし、無期雇用に転換する場合は6か月以上3年未満。)の有期契約労働者。

・支給対象事業主に雇用される期間が6か月以上の無期雇用労働者

・同一の業務について6か月以上の期間継続して労働者派遣を受け入れている派遣先の事業所その他派遣就業場所において就業している派遣労働者(無期雇用労働者として直接雇用される場合は、派遣元事業主での雇用(有期労働契約に限ります。)される期間が通算して3年未満の者に限ります。)

2, 正規雇用労働者として雇用することを前提として雇い入れられた労働者ではないこと。ただし、有期実習型訓練により雇い入れられた労働者を除きます。

3, 正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換または直接雇用される場合、当該転換または直接雇用の前日から起算して過去3年以内に、次のいずれかに該当していること。

・正規雇用労働者に転換または直接雇用される場合、当該事業主の事業所において正規雇用労働者または短時間正社員として雇用されたことがない者。
・無期雇用労働者に転換または直接雇用される場合、当該事業主の事業所において正規雇用労働者、短時間正社員または無期雇用労働者として雇用されたことがない者。

4,正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換または直接雇用後に社会保険の加入要件を満たす場合、社会保険の被保険者となっていること。ただし、社会保険の適用事業所に雇用される場合に限ります。

 

派遣労働者の多様な正社員としての直接雇用

(1) 多様な正社員制度のうち、当該雇用区分を労働協約または就業規則に、当該直接雇用制度を労働協約または就業規則その他これに準ずるものに規定している事業主であること。

(2) 派遣先の事業所その他派遣就業場所ごとの同一の業務について6か月以上の期間継続して労働者派遣を受け入れていた事業主であること。

(3) 多様な正社員制度に基づき、指揮命令の下に労働させる派遣労働者を多様な正社員として直接雇用した事業主であること。

(4) 多様な正社員として直接雇用した労働者を直接雇用後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して直接雇用後6か月分の賃金を支給した事業主であること。

(5) 直接雇用した日において、対象労働者以外に正規雇用労働者を雇用していた事業主であること。
(6) 支給申請日において当該制度を継続して運用している事業主であること。

(7) 当該直接雇用日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該直接雇用を行った適用事業所において、雇用保険被保険者を解雇等、事業主の都合により離職させた事業主以外の者であること。

(8) 当該直接雇用日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該直接雇用を行った適用事業所において、特定受給資格離職者として雇用保険法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における当該直接雇用日における雇用保険被保険者数で除した割合が6%を超えている事業主以外の者であること。

(9) 雇用する労働者を他の雇用形態に転換する制度がある場合にあっては、その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用している事業主であること。

(10) 当該直接雇用日以降の期間について、当該者を雇用保険被保険者して適用させている事業主であること。

(11) 当該直接雇用日以降の期間について、当該者を社会保険の被保険者として適用させている事業主であること。

(12) 母子家庭の母等または父子家庭の父の直接雇用に係る支給額の適用を受ける場合にあっては、当該直接雇用日において母子家庭の母等又は父子家庭の父の指揮命令の下に労働させる派遣労働者を直接雇用した者であること。

(13) 若者雇用促進法に基づく認定事業主についての35歳未満の者の直接雇用に係る支給額の適用を受ける場合にあっては、当該直接雇用日より前に若者雇用促進法第15条の認定を受けていて、当該直接雇用日において35歳未満の、指揮命令の下に労働させる派遣労働者を直接雇用した者であること。また、支給申請日においても引き続き若者雇用促進法に基づく認定事業主であること。

(14) 勤務地限定正社員制度または職務限定正社員制度に係る支給額の加算の適用を受ける場合にあっては、管轄労働局長からキャリアアップ計画書の確認を受けた日以降であって、当該キャリアアップ計画書に記載されたキャリアアップ期間中に、勤務地限定正社員制度または職務限定正社員制度のうち、当該雇用区分を労働協約または就業規則に、当該転換制度を労働協約または就業規則その他これに準ずるものに新たに規定した事業主であること。

 

多様な正社員の正規雇用労働者への転換

(1) 多様な正社員の雇用区分を労働協約または就業規則に、多様な正社員を正規雇用労働者に転換する制度を労働協約または就業規則その他これに準ずるものに規定している事業主であること。その制度は、面接試験や筆記試験等の適切な手続き、要件及び実施時期が明示されているものに限る。

(2) 規定に基づき、雇用する多様な正社員を正規雇用労働者に転換した事業主であること。

(3) 正規雇用労働者に転換した労働者を転換後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して転換後6か月分の賃金を支給した事業主であること。

(4) 転換した日において対象労働者以外に正規雇用労働者を雇用していた事業主であること。

(5) 支給申請日において当該制度を継続して運用している事業主であること。

(6) 当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、雇用保険被保険者を解雇等事業主の都合により離職させた事業主以外の者であること。

(7) 当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、特定受給資格離職者として雇用保険法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における当該直接雇用日における雇用保険被保険者数で除した割合が6%を超えている事業主以外の者であること。

(8) 雇用する労働者を他の雇用形態に転換する制度がある場合にあっては、その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用している事業主であること。

(9) 当該転換日以降の期間について、引き続き当該者を雇用保険被保険者として適用させている事業主であること。

(10) 当該転換日以降の期間について、引き続き当該者を社会保険の被保険者として適用させている事業主であること。

(11) 母子家庭の母等または父子家庭の父の転換に係る支給額の適用を受ける場合にあっては、当該転換日において母子家庭の母等又は父子家庭の父の多様な正社員を転換した者であること。

(12) 若者雇用促進法に基づく認定事業主についての35歳未満の者の転換に係る支給額の適用を受ける場合にあっては、当該転換日より前に若者雇用促進法第15条の認定を受けていて、当該転換日において35歳未満の多様な正社員を転換した者であること。

 

支給対象事業主

・有期契約労働者等を雇用する事業主であること。

・雇用する有期契約労働者等を試験(面接試験や筆記試験等)などにより正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換するコースを労働協約または就業規則に定めている事業主であること。

・転換された労働者を転換後6ヶ月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して転換後の処遇適用後6か月分(通常の勤務をした日数が11日未満の月は除きます)の賃金を支給している事業主であること。

・支給申請日において当該コースを継続して運用している事業主であること。

・無期雇用労働者に転換した場合、転換前の基本給より5%以上昇給させている事業主であること。

・当該転換日の前日から起算して過去6か月から1年を経過した日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、雇用保険被保険者(ただし、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除きます。以下同じ。)を事業主の都合により解雇等(退職勧奨を含みます。)をしたことがない事業主(天災その他やむを得ない理由のため事業の継続が不可能となったことまたは労働者の責めに帰すべき理由により解雇した事業主を除きます。)であること。

・当該転換日の前日から起算して過去6か月から1年を経過した日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、特定受給資格者となる離職理由(一部の離職理由を除きます。以下同じ。)により雇用保険被保険者を3人を超え、かつ、当該雇い入れ日における被保険者数の6%に相当する数を超えて離職させていない事業主であること。

・当該コースの適用に当たり、適切な手続き、要件(勤続年数、人事評価結果、所属長の推薦等の客観的に確認可能な要件・基準、手続き、実施時期等をいいます。)が労働協約または就業規則(労働契約または就業規則とは別に定められている場合は、当該別の定めを含みます。以下同じ。)に明示されていること。

・雇用する労働者を他の雇用形態に転換するコースについて、その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用する事業主であること。

 

派遣労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者として直接雇用する場合

・指揮命令の下に労働させる派遣労働者(期間の定めのある労働契約を締結するものに限ります。)を正規雇用労働者として直接雇用すること。

・指揮命令の下に労働させる派遣労働者(期間の定めのある労働契約を締結するものであって、当該派遣労働者としての通算雇用期間が3年未満であるものに限ります。)を無期雇用労働者として直接雇用(直接雇用前より基本給を5%以上昇給させる場合に限ります。)すること。

・指揮命令の下に労働させる派遣労働者(期間の定めのない労働契約を締結するもの(正社員待遇を受けているものを除きます。)に限ります。)を正規雇用労働者として直接雇用すること。

・派遣法第40条の4および第40条の5の雇用契約の申し込みの対象になる者を直接雇用する場合を除きます。

・労働者派遣の受入れ期間(派遣法第26条第1条第4号に規定する労働者派遣の期間。)の終了の日までの間に、当該派遣先に雇用されることを希望するものとの間で労働契約を締結するものに限ります。

なお、「労働者派遣の受入れ期間の終了の日までに・・・締結するもの」とは、同日までの間に当該派遣労働者を労働させ、賃金を支払う旨を約し、または通知した場合は当該派遣労働者に対し、労働契約の申込をした場合であって、その就業を開始する日が労働者派遣の期間の終了の日の翌日から起算して1か月以内であるときを含むものとして取り扱います。

・派遣労働者をその指揮命令の下に労働させる事業主であること。

・指揮命令の下に労働させる派遣労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に直接雇用するコースを労働協約または就業規則に定めている事業主であること。

・派遣先の事業所その他派遣就業場所ごとの同一の業務について6か月以上の期間継続して労働者派遣を受け入れている事業主であること。

・直接雇用された労働者に対して直接雇用後の処遇適用後6か月分(通常の勤務をした日数が11日未満の月は除きます。)の賃金を支給している事業主であること。

・支給申請日において当該コースを継続して運用している事業主であること。

・無期雇用労働者として直接雇用した場合、直接雇用前の基本給より5%以上昇給させている事業主であること。

・当該直接雇用日の前日から起算して過去6か月から1年を経過した日までの間に、当該直接雇用を行った適用事業所において、雇用保険被保険者を事業主都合により解雇等(退職勧奨を含みます。)したことがない事業主(天災その他やむを得ない理由のため事業の継続が不可能となったことまたは労働者の責めに帰すべき理由により解雇した事業主を除きます。)であること。

・ 当該直接雇用日の前日から起算して過去6か月から1年を経過した日までの間に、当該直接雇用を行った適用事業所において、特定受給資格者となる離職理由により雇用保険被保険者を3人を超え、かつ、当該雇い入れ日における被保険者数の6%に相当する数を超えて離職させていない事業主であること。

・当該コースの適用に当たり、適切な手続き、要件(勤続年数、人事評価結果、所属長の推薦等の客観的に確認可能な要件・基準、手続き、実施時期等をいいます。)が労働協約または就業規則に明示されていること。

・雇用する労働者を他の雇用形態に転換するコースについて、その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用する事業主であること。

 

 

社労士より一言

現在の国の数ある助成金の中でも受給しやすい助成金ということで非常に申請の多い助成金になっています。ただし、今年度より(4月1日以降の転換)、有期契約労働者を正規転換する場合は入社後3年未満であること、さらに賃金も転換前6か月間と比較して5%以上の引上げが要件に加わりました。なお、取組の事前に労働局に「キャリアアップ計画」を提出しておくことと、就業規則に正社員の転換の取り扱いについての制度を就業規則等に導入しておくことが必要です。

当事務所では、「キャリアアップ計画」の作成、就業規則の正社員転換制度導入のお手伝いもさせていただいております。まずは事前にご相談ください。