キャリアアップ助成金変更点
キャリアアップ助成金とは、有期契約労働者、パート・アルバイト、派遣労働者など、いわゆる「非正規雇用」の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、これらの取組を実施した事業主に対して助成をするものです。厚労省の数多くある助成金の中で最も申請件数の多い助成金です。今年度の変更点について紹介します。
大きな変更点として、支給額が変更になったこととほとんどの助成金でも追加となった生産性要件がキャリアアップ助成金においても加わりました。
①キャリアアップ助成金 正規転換コース
対象要件 有期契約労働者・契約社員等を正社員に転換
支給額 有期契約→正社員 1人当たり57万円(72万円)
有期契約労働者・契約社員等に対し、正社員化の取組みを実施した事業主に対して助成する制度です。正社員は社会保険加入が必須です。
1事業年度15人まで
②キャリアアップ助成金 人材育成コース
対象要件 有期契約労働者・契約社員等に425時間以上の教育訓練を行う。
支給額 訓練時間×時給760円(960円)+経費助成
有期契約労働者・契約社員等の企業内でのキャリアアップなどを促進するために人材育成を実施した事業主に対して助成する制度です。
- 対象者について
旧制度では、過去5年以内に継続して3年以上継続して同業種で正社員経験があり、かつ、その後半年以上無業期間の無い者が非対象者とされていましたが
〇異業種でも10年以内に6年以上継続して正社員経験がある者
に関しても非対象者となりました。
※人材育成コースについては、細かな変更点がありますので、詳細はご確認ください。当事務所でも承っております。
③キャリアアップ助成金 健康診断制度
対象要件 入社1年以内の有期雇用労働者または勤務時間が通常の3/4以内の契約社員等に健康診断を実施
支給額 38万円(48万円)
有期契約労働者・契約社員等に対し法定外の健康診断制度を新たに規定し4人以上実施した場合に助成される制度です。1事業所1回のみ
④キャリアアップ助成金 諸手当制度共通化コース(新設)
対象要件 有期雇用労働者等に対して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用
支給額 38万円(48万円)
例)家族手当 正社員 月額3,000円
契約社員、パートタイマー 月額3,000円
賞与の場合は、6ヵ月分として、50,000円以上
⑤キャリアアップ助成金 短時間労働者労働時間延長コース
対象要件 短時間労働者の所定労働時間を5時間以上延長し、新たに社会保険に適用した場合
支給額 1人当たり 19万円(24万円)
1事業年度15人まで
※支給額のカッコ内は、生産性要件を満たした場合
社労士よりひとこと
非常に申請件数も多いキャリアアップ助成金ですが、新しく「諸手当制度共通化コース」と「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」が新設されました。ただ、利用しやすいコースは今回取り上げた5コースになると思います。「人材育成コース」については、昨年度から要件が厳格化されましたが、教育訓練を実施して、契約社員等を正社員に登用したいと考えている事業所にとっては、ぜひ利用を検討してもらいたいと思います。訓練制度を確立することは、今後の新入社員や中途入社の社員の育成にも役に立つと思います。あと、育成訓練が難しい状況でも「正社員化コース」のみを申請することもできます。労働力不足になる中、契約社員やパート社員の戦力化は避けて通ることはできません。それに合わせて、この正社員化コースの利用も検討できると思います。
まずは、キャリアアップ助成金につきましては、計画書の提出が必要ですが、当事務所でも計画書の作成から助成金の申請、就業規則の改定までサポートを行っております。