平成29年度の雇用保険料率が引き下げとなる見通しとなりました。法案通りに決定されれば、平成29年4月1日以降の失業等給付の雇⽤保険料率が労働者負担・事業主負担ともに1/1,000ずつ引き下げとなります。企業側では人手の確保が課題となっていますが、一方で求職活動をされている人も少なくなってきているので、労働保険の財政も比較的余裕があることが背景にあるのだと思います。また、今国会で改正が予定されている雇用保険法の内容は以下の通りです。今年度中には正式決定されると思われますが、また動向はお伝えしていきたいと思います。

1.失業等給付の拡充

①リーマンショック時に創設した暫定措置を終了する一方で、雇用情勢が悪い地域に居住する者の給付日数を60
日延長する暫定措置を5年間実施する。また、災害により離職した者の給付日数を原則60日(最大120日)
延長できることとする。
②雇止めされた有期雇用労働者の所定給付日数を倒産・解雇等並みにする暫定措置を5年間実施する。
③倒産・解雇等により離職した30~45歳未満の者の所定給付日数を引き上げる。(30~35歳未満:90日→120
日、35~45歳未満:90日→150日)
④基本手当等の算定に用いる賃金日額について、直近の賃金分布等を基に、上・下限額等の引上げを行う。
⑤専門実践教育訓練給付の給付率を、費用の最大70%に引き上げる。(最大60%→70%)
⑥移転費の支給対象に、職業紹介事業者(ハローワークとの連携に適さないものは除く。)等の紹介により就職する者を追加する。

2.失業等給付に係る保険料率及び国庫負担率の時限的引下げ

保険料率及び国庫負担率について、3年間(平成29~31年度)、時限的に引き下げる。(保険料率0.8%→0.6% 国庫負担率(基本手当の場合)13.75%(本来負担すべき額(1/4)の55%)→2.5%(同10%))

3.育児休業に係る制度の見直し

①原則1歳までである育児休業を6か月延長しても保育所に入れない場合等に限り、更に6か月(2歳まで)の
再延長を可能にする。
②上記に合わせ、育児休業給付の支給期間を延長する。

4.雇用保険二事業に係る生産性向上についての法制的対応

雇用保険二事業の理念として、「労働生産性の向上に資するものとなるよう留意しつつ、行われるものとする」旨を明記する。

5.職業紹介の機能強化及び求人情報等の適正化

①a.ハローワークや職業紹介事業者等の全ての求人を対象(※)に、一定の労働関係法令違反を繰り返す求人者等の求人を受理しないことを可能とする。 b.職業紹介事業者に紹介実績等の情報提供を義務付ける。 c.ハローワークでも、職業紹介事業者に関する情報を提供する。

②求人者について、虚偽の求人申込みを罰則の対象とする。また、勧告(従わない場合は公表)など指導監督の規定を整備する。
③募集情報等提供事業(※)について、募集情報の適正化等のために講ずべき措置を指針(大臣告示)で定めることとするとともに、指導監督の規定を整備する。
※求人情報サイト、求人情報誌等
④求人者・募集者について、採用時の条件があらかじめ示した条件と異なる場合等に、その内容を求職者に明示することを義務付ける。

リーフレット「雇用保険料率を引き下げるための法律案を国会に提出しました