[概要]

派遣労働者やパートタイム労働者、契約社員などの雇用期間に定めがある労働者に、正規雇用の従業員と同一の手当の制度を新設し実際に適用し、従業員の処遇改善に努めた事業主が受給することができる助成金です。期限付きの非正規雇用である従業員にも、正規雇用の社員と同じ業務を行った場合に同様の賃金を支払うことや、食事手当や賞与など正規の従業員と同様の手当を適用することで従業員全体のモチベーションをあげることで期待できます。また、「同一労働同一賃金」も今後中小企業の取り組み課題となることが予想されるため、いち早く制度化することも今後を見据えてもこの助成金がきっかけになり得ると思います。

なお、助成金受給の対象となる手当の項目は皆勤手当て、通勤手当等11種類あるため、事業主の方が取組やすを選択いものを選択して従業員の処遇改善を行ってみてはいかがでしょうか。

 

[助成額]

中小企業か、大企業かによって支給額や支給率が違います。
生産性要件の対象です。

1事業所当たり・・・
中小企業38 万円〈生産性の向上48 万円〉大企業 28.5 万円〈生産性の向上36 万円〉

 

加算措置・・・両方とも受けられます。

① 制度を適用した有期契約労働者等の人数に応じた加算。

対象労働者1人当たり
中小企業1.5 万円<1.8 万円> 大企業1.2万円<1.4 万円>

② 同時に導入した2つ目以降の手当の数に応じた加算。

対象労働者1人当たり
中小企業 16 万円<19.2万円> 大企業12万円<14.4 万円>

 

 [要件]

有期契約労働者等と正規雇用労働者との共通の諸手当制度を新たに規定し、適用し場

合等に助成します。通勤手当や出張旅費などの諸手当は原則として非正規労働者にも同

じ額を支払うようにします。

正規雇用労働者と共通の次の(1)から(11)のいずれかの諸手当制度を新たに設けた事業主であること

 

[対象となる手当]
有期契約労働者等に、正規雇用労働者と共通の次の(1)から(11)のいずれかの諸手当制度を新設することが要件です。
※諸手当の名称が一致していない場合でも、その趣旨等から該当すると判断されれば要件を満たします。
(1)賞与
勤務成績に応じて定期又は臨時に支給される50,000円以上の手当(いわゆるボーナス)
(2)役職手当
管理職、管理・監督者等、職制上の責任のある労働者に対し、責任の重さ等に応じて支給される3,000円以上の手当
(3)特殊作業手当・特殊勤務手当
著しく危険な勤務等、特殊勤務に従事する労働者に対し、その勤務の特殊性に応じて支給される3,000円以上の手当
(4)精皆勤手当
労働者の出勤奨励を目的として、事業主が決めた出勤成績を満たしている場合に支給される3,000円以上の手当
(5)食事手当
勤務時間内における食費支出を補助することを目的として支給される3,000円以上の手当
(6)単身赴任手当勤務する事業所の異動等により、同居していた扶養親族と別居
することとなった労働者に対し、異動前後の住居間の距離等に応じて支給される3,000円以上の手当
(7)地域手当
特定地域に所在する事業所に勤務する労働者に対し、勤務地の物価の地域差等に応じて支給される3,000円以上の手当
(8)家族手当
扶養親族のある労働者に対して、扶養親族の続柄や人数等に応じて支給される3,000円以上の手当(子女教育手当を含む)

(9)住宅手当
自ら居住するための住宅や、単身赴任する者で扶養親族が居住するための住宅を借り受けまたは所有している労働者に対し、家賃等に応じて支給される3,000円以上の手当
(10)時間外労働手当
法定労働時間を超えた労働時間に対する割増賃金として、割増率を法定割合の下限に5%以上加算して支給される手当
(11)深夜・休日労働手当
深夜・休日の労働に対する割増賃金として、割増率を法定割合の下限に5%以上加算して支給される手当

 

社労士よりひとこと

キャリアアップ助成金の中のコースの一つです。手当については、1項目でも該当をすれば申請が可能です。将来、「同一労働同一賃金」の流れに沿って、正規・非正規の間の不合理な取り扱いは問題となることが予想されるので、今から取り組んでおく(手当の見直しをしておく)よいきっかけにもなると思います。将来は、例えばパートさんに賞与や通勤手当を支給しないという取り扱いは問題となる可能性が高いです。この助成金も事前に「キャリアアップ計画」の作成・届け出が必要です。さらに、就業規則に賃金規程の共通諸手当制度の制度化も必要です。