[概要]

「育休復帰支援プラン」を策定及び導入し、プランに沿って対象労働者が育休を取得した場合、及び当該育休取得者が復帰した場合に また、育児休業取得者の代替要員を確保し、休業取得者を原職等に復帰させた中小企業事業主に支給します。「大企業」は対象外です。また、以下の制度のいずれかついて導入すれば上乗せ助成金が付きます。

●子の看護休暇制度
子の看護等のため、小学校就学前の子につき、時間単位の利用ができ、かつ、有給の休暇制度を導入し、10時間以上の利用実績がある事業主

●保育サービス費用補助制度
小学校就学前の子に係る臨時・一時的な保育サービス(保育所等による恒常的な保育を除く。)の費用の一部を労働者に補助する制度を導入し3万円以上の補助実績がある事業主

 

[受給額]

●育休取得時・職場復帰時<生産性要件アップ>
1企業につき2回まで(正社員1回、期間雇用者1回)それぞれ1人について、以下の額が支給。

1回目(育休取得時):プランを策定し、育休取得した時:28.5万円<36万円>
2回目(職場復帰時):育休者が職場復帰した時:58.5万円<36万円>
合計57万円<72万円>

以下の制度選択で、助成金が上乗せされます。

●業務代替支援:支給対象労働者1人当たり47.5万円<60万円>支給対象労働者が有期契約労働者の場合 9.5万円<12万円>加算。
有期雇用労働者加算:9.5万円<12万円>1事業主当たり1年度10人まで5年間支給
また、以下の制度選択で、どちらか一方でも両方でも助成金が上乗せされます。

●職場復帰後支援
〇看護休暇制度 :28.5万円<36万円> ・・・1,000円<1,200円>×時間
〇保育サービス費用補助制度:28.5 万円<36万円>・・・支出額の2/3の補助

(制度利用時)

〇子の看護休暇制度 休暇1時間当たりの賃金×利用時間数

  • 1時間当たりの賃金は、1事業主 1,000円<1,200円>が上限
  • 利用時間は、1事業主につき、1年度 200時間<240時間>が上限
  • 支給は最初の支給申請日から3年以内の期間において5人まで。

〇保育サービス費用補助制度 事業主の実支出額の2/3

  • 1事業主につき、1年度 20万円<24 万円>が上限
  • 支給は最初の支給申請日から3年以内の期間において5人まで。

●コロナウイルス感染症特例(小学校休業等対応)
対象労働者1人当たり5万円、1事業主当たり対象労働者延べ10人
(同一の対象労働者について1回限り)まで、上限50万円。

 

[受給のポイント]

産休42日に入る前の社員がいれば対象となる可能性があります。就業規則等に、育休復帰支援プランにより、労働者の円滑な育児休業の取得及び職場復帰を支援する措置を実施する旨あらかじめ規定し、労働者へ周知していること、一般事業主行動計画を届け、周知していることが重要です。

育休取得
中小企業事業主が、育児休業取得予定者と育児休業前の面談を実施した上で、育休復帰支援プランを作成し、当該プランの実施により、当該予定者が3か月以上育児休業を取得した場合、支給されます。

職場復帰
中小企業事業主が、育休復帰支援プランの実施により、育児休業中の情報提供を含む復帰支援を行うと共に、育児休業復帰前・復帰後の面談により必要な支援を行った上で、,u>育児休業取得者が職場復帰後6か月以上雇用された場合、支給されます。

代替要員確保
次の①~③の全ての取組が必要です。

育児休業取得者の職場復帰前に、就業規則等に育児休業が終了した労働者を原職等に復帰させる旨を規定すること。
対象労働者が3か月以上の育児休業を取得した上で、事業主が休業期間中の代替要員を確保すること。
対象労働者が、育児休業終了後に上記規定に基づき原職等に復帰し、さらに6か月以上継続就業すること。

同一事業所内で育児休業取得者の職務を他の労働者が担当し、その労働者の職務に代替要員を確保する場合(いわゆる「玉突き」の場合)も、支給対象となります。

原職復帰が要件です。原則同一事業所の、所属する組織の最小単位の所属先にいて、職制上の地位が低下していないこと。時間短縮をしても、給与形態(月給制など)は変わっていないこと等。

新型コロナウイルス感染症対応特例は、要件に当てはまれば、小学校等休業等対応コースかどちらかを申請します。ただし令和3年7月31日以前の休暇付与は、11月30日までにこの助成金で申請します。ポイントは以下の通りです。

  • 小学校等(小学校、保育園、幼稚園など)が臨時休業等になり、それに伴い子どもの世話を行う必要がある労働者が、賃金が全額支払われる特別有給休暇を取得できる制度の規定化。
  • 小学校等が臨時休業等した場合でも勤務できる両立支援の仕組みとして、次のいずれかの社内周知。テレワーク勤務、短時間勤務制度、フレックスタイムの制度、時差出勤の制度、ベビーシッター費用補助制度 等
  • 労働者一人につき、特別有給休暇を4時間以上取得。

 

社労士より一言

いわゆる育児休業に対する助成制度です。特に女性社員の場合は、お子さんが1歳(もしくは1歳6か月)まで育児休業を取得するケースが多いと思いますが、事前に産前休業に入る前から、就業規則に定めた育休復帰支援プランに基づき、面談や引継ぎを書面にて残しておく必要があります。ただ、どこの事業所でも当たり前にされていることを制度化し、書面に残すことなので、比較的申請しやすい助成金だと思います。助成金の申請にあたっては、育児・介護休業に関する規定が整備されていること(令和4年の改正育児・介護休業法に対応したもの)と一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局に届け出等が必要です。「育児・介護休業等に関する規定」の整備・修正また一般事業主行動計画の策定等についても当事務所で相談対応しております。特に今年度は育児・介護休業法の法改正により、規程の改正も事前に必要となります。