今年5月27日に「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が成立し、検討されていた通り、平成28年度より標準報酬月額の上限額が121万円から139万円へ引上げられることになりました。また、標準賞与額も年間上限額540万円から573万円に引上げられることになっています。対象となる方のおられる事業所は把握しておいてください。

2016年4月から変更となる健康保険の標準報酬月額と賞与額の上限額改定

1.健康保険・厚生年金保険の保険料計算に用いられる標準報酬月額
 健康保険・厚生年金保険の毎月の保険料は、基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた被保険者の給与の額で決定します。具体的には、給与の額を一定の幅で区分した報酬月額にあてはめて、標準報酬月額を決定し、その標準報酬月額に保険料率をかけて保険料を計算します。
 これに対し、賞与の保険料は、毎月の給与の保険料に関する計算方法とは異なり、賞与の額から1,000円未満の端数を切り捨てた標準賞与額に保険料率をかけて保険料を計算します。

2.標準報酬月額の上限の改定
 現在、標準報酬月額は、健康保険が1等級(58,000円)から47等級(1,210,000円)まで、厚生年金保険が1等級(98,000円)から30等級(620,000円)までの30等級に分かれています。このうち、健康保険の上限が2016年4月1日より引き上げられ、下図のとおり3等級追加されます。

〈改正前〉
月額等級 標準報酬月額 報酬月額
第47等級 1,210,000円 1,175,000円以上
〈改正後〉
月額等級 標準報酬月額 報酬月額
第47等級 1,210,000円 1,175,000円以上 1,235,000円未満
第48等級 1,270,000円 1,235,000円以上 1,295,000円未満
第49等級 1,330,000円 1,295,000円以上 1,355,000円未満
第50等級 1,390,000円 1,355,000円以上

 なお、2016年3月時点の標準報酬月額の基礎となった給与の額が1,235,000円以上の被保険者については、2016年4月から追加された標準報酬月額に再度あてはめられ、新しい標準報酬月額が決定されることになっています。職権で昨年の算定基礎の数字をもとに4月から等級が変更となりますので、給与計算の際にはご注意ください。

3.標準賞与額の上限の改定
 標準賞与額についても上限が設けられており、健康保険が年度(4月から翌年3月)累計額540万円、厚生年金保険が支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算)あたり150万円となっています。このうち、健康保険の上限額については、2016年4月1日より573万円に引き上げられます。なお、2016年4月1日以降に支給された賞与額が対象となります。
 今回は、上限の引き上げであり、対象者はさほど多くないとは思いますが、保険料額の負担は大きくなりますので、あらかじめ対象者を確認の上、周知をしておきましょう。

そのほか、一般保険料率上限の引上げも決定しており、現状、1,000分の120ですが、平成28年度から1,000分の130に引上げられます。健康保険料率は、1,000分の30からこの上限額の間で決定されることになっているため、今後、健康保険料率が引上げられることも考えられます。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。