中小企業の設備投資にかかる賃上げ助成金です。

[概要]

業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。

 

[対象事業主]

  • 中小企業・小規模事業者であること
  • 事業場内最低賃金地域別最低賃金の差額が30円以内であること
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

 

[要件]

  1. 賃金引上計画を策定すること
    事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる(就業規則等に規定)
  2. 引上げ後の賃金額を支払うこと
  3. 生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと
    ( (1) 単なる経費削減のための経費、 (2) 職場環境を改善するための経費、 (3)通常の事業活動に伴う経費などは除きます。)
     単なる経費削減のための経費、職場環境を改善するための経費、パソコン、営業車輌など、社会通念上当然に必要となる経費は対象外となりますが、例外として PC、スマホ、タブレットの新規購入、貨物自動車なども生産性向上の効果が認められる場合は対象になります。
  4. 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと など

 

[受給額]

助成上限額は以下のとおりです。
引き上げる最低賃金額及び引き上げる労働者の人数によって助成上限額が変わります。

(助成上限額の拡大について)

  • 申請事業場の規模が30人未満であれば、一番右の欄の助成上限額が受けられます。
  • 特例事業者に該当する場合は、労働者数の「10人以上」の区分を選択できます。(10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合。)

 

[助成上限額]


※ 10人以上の上限額区分は、<特例事業者>が対象です。

 

[引上げのルール]

ア.全ての労働者の賃金を新しい事業場内最低賃金以上まで引き上げる必要があります。
イ.賃金を引き上げる労働者数に応じて助成上限額が変動します。(上表参照)
ウ.事業場内最低賃金の者以外でも、申請コースの額以上賃金を引き上げた場合は引上げ人数にカウントされる場合があります。

 

[助成率]

助成率は以下のとおりです。
申請を行う事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって、助成率が変わります。

(助成率の拡大について)

  • 申請事業場の事業場内最低賃金額が870円未満又は870円以上920円未満であれば、3/4より高い助成率が受けられます。
  • 生産性要件に該当した場合は、( )書きの助成率が適用されます。

<助成率>

 

[申請までの流れ]

業務改善助成金を受けるために求められる行動は以下の通りです。

  • 事業場内最低賃金が適用される労働者(雇入れ後6 月を経過していること)の賃金引上計画を作成し、就業規則等に規定、申請後に賃金引上げを行うこと。
  • 生産性向上のための設備・器具の導入などを行い、業務改善を行い、その費用を支払うこと
  • 事業場内最低賃金が改定後の地域別最低賃金額を下回る場合は、賃金引上げは、その発効日の前日までに行うこと。
    賃金引上げを地域別最低賃金の発効日以後に行う場合は、改定後の地域別最低賃金額を上回る事業場内最低賃金を基礎として、定められた額以上の引上げを行うこと。

まずは、都道府県労働局に助成金交付申請書の提出を行い、助成金の交付決定通知を受けます。その後、設備投資等を行います。
対象経費は・・・
謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、原材料費、機械装置等、購入費、造作費、人材育成・教育訓練費、経営コンサルティング経費、委託費です。
「人材育成・教育訓練費」「経営コンサルティング経費」も助成対象となります。単なる経費削減のための経費、職場環境を改善するための経費、パソコン、営業車輌など、社会通念上当然に必要となる経費は対象外となります。
[事業完了期限]
・導入機器等の納品日
・導入機器等の支払完了日(銀行振込の振込日。クレジットカード等の場合は口座の引き落とし日。)
・賃金引上げ日(就業規則等の改正日)
のいずれか遅い日となります。

業務改善助成金の事業完了期限は交付決定の属する年度の2月28日となっておりますので、納品・支払完了・賃金引上げをいずれも2月28日までに実施していただく必要があります。
(例:令和5年度に交付決定があった場合は、2024年(令和6年)2月28日まで。)

 

[社労士より一言]

 以前からある助成金ですが、昨年度からの大きな変更はありません。対象労働者ですが、こちらは雇用保険の被保険者でなくても労働者数に算入できます。アルバイト1名だけ雇用しているといった事業場でも助成の対象とります。対象となる設備投資は、あくまでも生産性の向上につながるものになります。また、事前に設備投資の場合は、相見積もりが原則必要となります。助成の対象になりうるかを含めて、当事務所でも相談に対応しております。なお、以前に業務改善助成金を受給したことのある事業場でも、要件に該当すれば助成の対象となります。