鳥取市の社会保険労務士の田中伸一です。

このところ特に都市部では、コンビニとか外食チェーンで中国や韓国の方が働いているケースが多いと感じている方も多いと思います。いったい日本人はどこに行ってしまったのかなぁと。私が学生の頃は、コンビニとかファミレス、居酒屋なんて大学生のアルバイトでいっぱいでしたが、今の日本の大学生はどこでアルバイトをしているのかなぁと逆に思ってしまうくらいだと思います。(裏を返せば、中国や韓国の若年層の失業問題は深刻だとも)

この前、鳥取でもとあるアパレルチェーンで洋服を買いに入ったら、中国人らしき若い女性が接客をしてくれました。鳥取でも外国人の店員が増えてきているのだと実感をしました。ズボンを選んでいると、流暢ではないですが、日本語で対応してくれました。本当に異国の地で言葉を習得して働いている姿にはすごいなぁと思ってしまいます。ただ、中国の方に「それ似合うと思うよ。」(ため口なのはご愛嬌としても)と言われてもなんだか素直に受け取っていいのか(笑)同じアジア人でも中国の方って服装だけでなんとなく日本人ではないのが分りますよね。それだけに、いやぁどんなんだろって思ってしまう自分がいるわけです(^_^;)

アベノミクスにより日本の景気が上向いているといわれていますが、たしかに求人自体の件数も実際に増えているようです。ただ、今働いている人たちの給料が増えているかというと、実際にはあまり変わっていないのが実態だという統計も出ています。製造業は円安でもそれほど輸出が伸びているわけではなく、おそらく今の求人の内容は、公共事業の増加による建設業やチェーン展開をしているサービス業の件数が増えていることにあると思います。

ただ、ずっと公共事業は減ってきていたので、今になって急に求人が増えても、建設業に従事されていた方はすでに他の業界に転職を余儀なくされたりした状況が続いたため、いまさら経験者とか資格保持者といってもなかなかすぐに見つからないと思います。日本の基幹産業ともいえる建設業をムダの一言でたたいてきたツケがここにきて回ってきているとも言えると思います。いきなり採用してすぐに仕事ができるわけもなく、何年もかけて育てて、技術を習得させていかなければならない業界だと思いますが、それだけ技術を持った方が少なくなっているとすれば、日本の建設業における技術力の低下やノウハウの継承ができないといった状況にもつながり、今後の日本の将来が危ぶまれます。だれがビルや道路を作ってくれるのでしょうか、もちろん小さな工務店や地元の建設会社を含めて日本の建設、土木の会社です。そこで外国人労働者を受け入れればいいという意見もありますが、日本語も分からない外国人が単純作業は出来たとしても細かいところや本当の意味での技術を要する仕事をこなすのは難しいと思います。それよりもどうして日本人がいるのに外国人にわざわざ仕事をしてもらわないといけないのかと思います。外国人に技術を教えても彼らはやがて祖国に帰ります。彼らの祖国のためにはなるかもわかりませんが、日本の将来のためにはどうなのでしょうか?建設業が元気になれば、車輌や重機も必要になります。あと、男性が多いので夜飲みに行く人も増えると思います。実は経済的な効果も期待できるのではないかと思います。

ただ、このまま公共事業が増えている状況が続くとも限りません。なにせ、建設業は今までムダの象徴的な扱いをうけてきたので、安易に若い人をたくさん雇って、なんてことはおそらく経営者としては難しいところだと思います。それにこれまでの「見て覚えろ、仕事は盗め」といった職人気質のままでは、今の若い人はついていけないと思います。ゆとり教育のせいにするのが簡単かもわかりませんが、今こそ若い人たちに頑張って技術を継承していってもらわないと、将来困るのは日本国民全体の話になってしまいます。ただでさえ、体力的にもきついイメージのある業界です。いつ公共事業がなくなってしまうのかという危機感ではなく、もっと夢を持てる業界であると、国も全面的にバックアップし、さらなる日本の成長に繋げていってもらいたいと個人的には思います。

それから外食産業や小売業等のサービス業ですが、デフレ下の競争が激しすぎて、これまで人件費を節約しようとかなり無理をしてきた業界だと思います。おそらく一人あたりの仕事量もかなり多く、時間外の労働時間もかなり増えていたのではないかと思います。ここにきてそれも限界にきているのとお客さんの数も増えてきているので、求人も増えているのだと思います。この前テレビ番組でも取り上げていましたが、都市部ではアルバイトの確保もままならず、時間給を引き上げるだけでなく、アルバイトに対して入社お祝い金を支給したりするところも出てきているようです。東京の大学生のインタビューでは当たり前のように時給は1000円からと答えていました。地方民からするとなんとうらやましいと思ってしまいます。番組では就職活動をする店のアルバイト店員に対して自社で就職活動のサポートをするといったユニークな試みをされている居酒屋チェーンも紹介されていました。大学生のアルバイトの経験って本当に将来の糧になると思います。しかし、人件費という一番大きなコストのことを考えると、今後も外国人労働者がどんどん押し寄せてくるような気がします。コンビニ業界、外食業界、小売チェーンでは店員が外国人ばかりという時代がきてしまうのではないかと思ってしまいます。

これから消費税の引き上げもあり、景気の状況は予断を許さないと思いますが、別に外国人労働者を批判するわけではなく、異国の地で慣れない日本語に苦労しながら頑張っている彼らには頭が下がります。しかし、今後どんどんその門が開かれてしまうと、これまでの日本人の築きあげてきたものがなんだか壊れていってしまうような気もします。失って初めて気づくでは本当に遅いです。景気が悪い、人件費を下げるという循環では良くなりません。どんな仕事でも楽しさや喜びもあると思います。一生懸命やったことについてはそれだけの報酬は当然受けるべきだと思います。それにはやはり国力のさらなる向上が不可欠です。マネーゲームをしている一部の人間だけがおいしい思いをするのではなく、実態の足元の景気が良くなったと実感できるような状況になってもらいたいと思います。