生産性の向上に向け、設備投資や規程整備による勤務間インターバル制度の導入を行った場合に支給される助成金です。
「勤務間インターバル」とは、勤務終了後、一定時間以上の「休息期間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保する制度です。
[概要]
勤務間インターバル制度の導入に取り組む事業主が対象です。
労働時間等の設定の改善を図り、過重労働の防止及び長時間労働の抑制に向けた、勤務間インターバル(9時間以上)制度導入に係る、規程や機器の購入など、各種経費の一部を支給するものです。
[勤務間インターバル制度とは]
勤務間インターバル制度は、前日の業務を終え退社した時間から翌日の始業時間までの間を一定期間開けなければならない、という制度です。
これまでの労働基準法では、労働時間の上限を決めることで法外に長い時間の労働を規制してきましたが、「勤務間インターバル制度」では定められた時間の休息時間を確保し長時間の労働を制限しています。
例えば、前日の退社時間が午後22時であった場合、勤務間インターバルの時間が11時間と設定されているため、翌日の始業時刻は11時間後の午前9時になります。
普段の就業時間が8時~17時と定められている場合でも、午前9時の始業が認められ、午前8時から午前9時までの間の1時間分の給料を減給されることもありません。よって前日遅い時間まで残業をした従業員の方もしっかり休息をとり翌日出社することができます。
海外では勤務間インターバル制度を取り入れている企業も多くありますが、日本国内でもすでにいくつかの企業が勤務間インターバル制度を導入しています。
[支給対象となる事業主]
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
- 次のアからウのいずれかに該当する事業場を有する事業主であること
ア 勤務間インターバルを導入していない事業場
イ 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場
ウ 既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場 - 全ての対象事業場において、交付申請時点及び支給申請時点で、36協定が締結・届出されていること。
- 全ての対象事業場において、原則として、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること。
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
[助成額]
取組の実施に要した経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて支給します。
対象経費の合計額に補助率3/4(※)を乗じた額を助成します(ただし次の表の上限額を超える場合は、上限額とします)。
※常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取組で6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5
休息時間数(※) | 「新規導入」に該当する 取組がある場合 |
「新規導入」に該当する取組がなく、 「適用範囲の拡大」又は 「時間延長」に該当する取組がある場合 |
---|---|---|
9時間以上 11時間未満 |
80万円 | 40万円 |
11時間以上 | 100万円 | 50万円 |
※ 事業実施計画において指定した事業場に導入する勤務間インターバルの休息時間のうち、最も短いものを指します。
賃金額の引上げを成果目標に加えた場合の加算額は、指定した労働者の賃金引上げ数の合計に応じて、次の表のとおり、上記上限額に加算する。なお、引き上げ人数は30人を上限とする。
(常時使用する労働者数が30人を超える中小企業事業主の場合)
引き上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11人~30人 |
---|---|---|---|---|
3%以上引き上げ | 15万円 | 30万円 | 50万円 | 1人当たり5万円 (上限150万円) |
5%以上引き上げ | 24万円 | 48万円 | 80万円 | 1人当たり8万円 (上限240万円) |
(常時使用する労働者数が30人以下の中小企業事業主の場合)
引き上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11人~30人 |
---|---|---|---|---|
3%以上引き上げ | 30万円 | 60万円 | 100万円 | 1人当たり10万円 (上限300万円) |
5%以上引き上げ | 48万円 | 96万円 | 160万円 | 1人当たり16万円 (上限480万円) |
[要件]
上記の目標に取り組んだうえで、以下の取組みにかかった経費が助成金の対象となります。
次のうちのどれか1つを実施してください。
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 人材確保に向けた取組
- 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
- 労務管理用機器の導入・更新
- デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)
※研修には、勤務間インターバル制度に関するもの及び業務研修も含みます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
[成果目標]
支給対象となる取組は、以下の「成果目標」の達成を目指して実施してください。
事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入し、定着を図ること。
具体的には、事業主が事業実施計画において指定した各事業場において、以下のいずれかに取り組んでください。
ア 新規導入
勤務間インターバルを導入していない事業場において、事業場に所属する労働者の半数を超える労働者を対象とする、休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルに関する規定を労働協約または就業規則に定めること
イ 適用範囲の拡大
既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下であるものについて、対象となる労働者の範囲を拡大し、当該事業場に所属する労働者の半数を超える労働者を対象とすることを労働協約または就業規則に規定すること
ウ 時間延長
既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場において、当該事業場に所属する労働者の半数を超える労働者を対象として、当該休息時間数を2時間以上延長して休息時間数を9時間以上とすることを労働協約または就業規則に規定すること
上記の成果目標に加えて、対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額の引上げを3%または5%以上行うことを成果目標に加えることができます。
[勤務間インターバル導入コース]
勤務間インターバル導入コースの申請を行い助成金を受給するためにはいくつかの手続きを行う必要があります。
- 交付申告書を管轄の労働局へ提出し交付決定後、取り組みを実施する。
締め切りが令和6年11月29日(金) - 支給申請書を管轄の労働局へ提出。
締め切りが令和7年1月31日(金)
※予算が終了次第打ち切りとなりますので、早めの申請をおすすめします!
社労士よりひとこと
働き方改革推進支援助成金一つです。昨年度から変更点はありません。要件で、過去2年間において月45 時間を超える時間外労働の実態があることとありますのでもしこちらの申請が難しい場合は、別コースの労働時間短縮・年休促進支援コースを検討されたほうがいいかもわかりません。経費は就業規則の変更やコンサルティング料の他に労務効率の増進につながる設備投資の費用も対象となります。事前に交付申請書を労働局に提出して交付決定を受ける必要あります。受給まで要件を確認しながら進めていく必要があります。社労士等の専門家に相談されることをおすすめします。(労使協定の締結、有給休暇の制度整備等も事前に必要です。)また、賃金アップ等に取り組み事業主には、別途助成金の加算もありますので、詳細はご相談ください。