★ どんな助成金?
労働者の雇用安定とキャリア形成を支援するための助成金制度の一環です。このコースは、非正規雇用から正規雇用への転換を促進し、企業の人材育成と組織の成長を支援することを目的としています。
正規雇用等に転換(以下「転換等」といいます。)する制度を規定し、有期契約労働者等を正規雇用に転換等した場合に助成します。
★ いくらもらえる?
中小企業か、大企業かによって支給額や支給率が違います。
生産性要件の対象です。
令和7年度から支給対象や助成額が大幅に見直されました。
重点支援対象者の場合
①有期→正規:1人当たり 80万円(大企業60万円)
②無期→正規:1人当たり 40万円(大企業30万円)
重点支援対象者以外の場合
①有期→正規:1人当たり 40万円(大企業30万円)
②無期→正規:1人当たり 20万円(大企業15万円)
〈①②合わせて1年度1事業所当たり20人まで〉
重点支援対象者とは以下のいずれかに該当する者:
a:雇入れから3年以上の有期雇用労働者
b:雇入れから3年未満かつ以下の両方に該当する者
①過去5年間の正社員歴が1年以下
②過去1年間に正社員として雇用されていない
c:派遣労働者、母子家庭の母・父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定訓練修了者
重点支援対象者は申請が2期に分かれ、転換後6か月および12か月経過後に各期の支給申請を行います。それ以外の者は1期目のみの支給となります。
重点支援対象外とされる新規学卒者:学校等を卒業・修了後、初めて正社員以外で雇用され、雇入れ日から1年未満の者は支給対象外となります。
加算
・人材開発支援助成金の訓練終了後に正社員化した場合
①・・・1人当たり9.5万円
②・・・1人当たり4.75万円
・ ⺟⼦家庭の⺟等を転換等した場合。
①・・・1人当たり9.5万円
②・・・1人当たり4.75万円
正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合
20万円(大企業15万円)
1人目の転換時に合計100万円(大企業75万円)助成
人材開発支援助成金の高助成率になる一定のIT
訓練等(人材育成支援コース、事業展開等リスキリング支援コース、人への投資促進コースに限る)を経た場合に、正社員化コースの助成額の上乗せがあります。上乗せを含めた額は・・・
1・・・1人当たり95,000円(大企業も同額)
2・・・1人当たり47,500円(大企業も同額)
☆ 「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換等した場合
1事業所当たり40万円(30万円) <1事業所当たり1回のみ>
★ 受給のポイント
対象となる労働者
- 支給対象事業主に雇用される期間が通算して6か月以上の有期契約労働者等
- 正規雇用労働者または多様な正社員として、雇用することを約して雇い入れられた有期契約労働者等でないこと等
※新規学卒者で雇入れから1年未満の者は支給対象外(令和7年度から明確化)
★ 対象となる事業主
- 転換された労働者を、転換後6か月以上の期間継続して雇用し、転換後、時間外手当等を含まない6か月分の基本給及び定額で支給される諸手当を、3%以上アップ(賞与を含まない)させて支給した事業主であること。
- 正規雇用労働者に転換した日以降の期間について、当該者を社会保険の被保険者として適用させている事業主であること等
令和4年10月から以下の厳格化が適用になっています。
- 正社員の定義:「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限られます。
- 非正規社員の定義:賃金の額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を受けている、(非正規社員就業規則の適用が必須になります。)
令和7年4月から以下の見直しが実施されました。
- 支給対象が「重点支援対象者」と「それ以外」で区分され、それ以外は支給額が半減
- 重点支援対象者は2期(転換後6か月・12か月)、それ以外は1期のみの支給
- 新規学卒者(雇入れから1年未満)の支給対象外が明確化
- 重点支援対象者かの確認は、所定の様式(様式第3号 1-5対象者確認票)で行う
社労士より一言
令和7年度のキャリアアップ助成金正社員化コースは大幅な改正により、支給対象者や助成額の見直しが行われました。重点支援対象者に該当しない場合は支給額が半減となりましたが、依然として利用価値の高い助成金です。
特に注目すべき点は、「重点支援対象者」の定義と新規学卒者の除外規定です。支給対象者の中でも長期的に不安定雇用を経験している方々に焦点をあてる形となりました。非正規から正規への転換を検討されている企業は、対象労働者が重点支援対象者に該当するかを事前に確認することが重要です。
従来通り、取組の事前に労働局に「キャリアアップ計画」を提出し、正社員転換制度を就業規則等に導入しておくことが必要です。就業規則の規程要件が厳格化されていますので、専門家に依頼された方が安心かと思います。
当事務所では、「キャリアアップ計画」の作成、就業規則の正社員転換制度導入のお手伝いもさせていただいております。まずは事前にご相談ください。