★ どんな助成金?
労働者の雇用安定とキャリア形成を支援するための助成金制度の一環です。このコースは、非正規雇用から正規雇用への転換を促進し、企業の人材育成と組織の成長を支援することを目的としています。正規雇用等に転換(以下「転換等」といいます。)する制度を規定し、有期契約労働者等を正規雇用に転換等した場合に助成します。
★ いくらもらえる?
中小企業か、大企業かによって支給額や支給率が違います。
生産性要件の対象です。
①有期→正規:1人当たり 80万円(大企業60万円)
②無期→正規:1人当たり 40万円(大企業30万円)
〈①②合わせて1年度1事業所当たり20人まで〉
①②・・・対象となる有期契約労働者について、転換又は直接雇用される前の雇用された期間が3年以下のものに限ります。さらに、転換又は直接雇用した後の賃金が一定の割合(3%)以上増額したものに限ります。※カッコ内は大企業の場合
加算
・人材開発支援助成金の訓練終了後に正社員化した場合
①・・・1人当たり9.5万円
②・・・1人当たり4.75万円
・ 母子家庭の母等を転換等した場合。
①・・・1人当たり9.5万円
②・・・1人当たり4.75万円
正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合
20万円(大企業15万円)
1人目の転換時に合計100万円(大企業75万円)助成
人材開発支援助成金の高助成率になる一定のIT訓練等(人材育成支援コース、事業展開等リスキリング支援コース、人への投資促進コースに限る)を経た場合に、正社員化コースの助成額の上乗せがあります。上乗せを含めた額は・・・
1・・・1人当たり95,000円(大企業も同額)
2・・・1人当たり47,500円(大企業も同額)
☆ 「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換等した場合
1事業所当たり40万円(30万円) <1事業所当たり1回のみ>
★ 受給のポイント
対象となる労働者
- 支給対象事業主に雇用される期間が通算して6か月以上の有期契約労働者等
- 正規雇用労働者または多様な正社員として、雇用することを約して雇い入れられた有期契約労働者等でないこと等
★ 対象となる事業主
- 転換された労働者を、転換後6か月以上の期間継続して雇用し、転換後、時間外手当等を含まない6か月分の基本給及び定額で支給される諸手当を、3%以上アップ(賞与を含まない)させて支給した事業主であること。
- 正規雇用労働者に転換した日以降の期間について、当該者を社会保険の被保険者として適用させている事業主であること等
令和4年10月から以下の厳格化が適用になっています。
- 正社員の定義:「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限られます。
- 非正規社員の定義:賃金の額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を受けている。(非正規社員就業規則の適用が必須になります。)
令和5年11月29日以降の正社員化した場合に正社員コースが拡充されました。
- 2期で80万円助成(1期あたり40万円)無期から正規の場合は、40万円(1期あたり20万円)
- 有期契約労働者の雇用期間を6か月以上3年以内から6か月以上に緩和
- 新たに正社員制度の導入に取り組む事業主に対する加算措置新設1事業所あたり20万円(15万円)
※1人目の転換と合わせて、合計100 万円が支給。 - 多様な正社員制度(勤務地限定、職務限定、短時間正社員)制度を新たに規定し、その雇用区分に転換等した場合・・・40万円(30万円)
※1人目の転換と合わせて、合計120万円が支給。
社労士より一言
現在の厚労省の数ある助成金の中でも受給しやすい助成金ということで非常に申請の多い助成金になっています。有期契約労働者を正規転換する場合は、これまでの入社後6か月以上3年未満が6か月以上に緩和され、さらに助成額も80万円に拡充されました。ただし、申請は2回に分けて申請となりますので、正社員後12か月の定着をしないと満額の受給はできないことになります。また、令和4年10月以降の転換については、就業規則に賞与や昇給等の取り扱いの明記が必要なっています。なお、取組の事前に労働局に「キャリアアップ計画」を提出しておくことと、就業規則に正社員の転換の取り扱いについての制度を就業規則等に導入しておくことが必要です。助成額は拡充されたものの、就業規則の規程の要件が厳格化されていますので、専門家に依頼された方が安心かと思います。
当事務所では、「キャリアアップ計画」の作成、就業規則の正社員転換制度導入のお手伝いもさせていただいております。まずは事前にご相談ください。