厚生労働省が所管する「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」は、企業の新たな事業展開や業態転換、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進等に対応するためのリスキリング(再教育)を支援する助成金制度です。令和4年度に創設され、令和8年度までの時限措置として運用されています。
■ 対象となる企業・労働者
【対象事業主】雇用保険適用事業所であること
【対象労働者】雇用保険被保険者である正社員、契約社員、短時間労働者等
■ 助成対象訓練の要件
【訓練形式】OFF-JT(10時間以上)
【訓練目的】業務転換、新規事業展開、生成AI・ITリテラシーの向上等に資する内容
■ 助成内容(令和7年度改正後)
内容 | 中小企業 | 大企業 |
---|---|---|
賃金助成額 | 1,000円/人・時間(最大1,200円) | 500円/人・時間(最大600円) |
経費助成率 | 75%(最大85%) | 60%(最大70%) |
【加算条件】
- 訓練修了後、対象労働者の基本給を5%以上引き上げた場合
- 訓練修了後、資格手当等により賃金を3%以上引き上げた場合
■ 活用可能な訓練例(生成AI関連含む)
- 社内でのChatGPT研修
- Notionなど生成AIを用いた業務効率化研修
- AI・データサイエンス研修(リモート・eラーニング含む)
- 業務転換に向けたITスキル訓練(Excel VBA、クラウドツール)
- 営業戦略再構築研修、新規事業展開戦略研修
■ 申請から受給までの流れ
- 事業内職業能力開発計画の策定
- 訓練実施計画届の提出(訓練開始の1か月前まで)
- 訓練の実施(10時間以上)
- 支給申請(訓練終了から2か月以内)
■ 令和7年度の改善点
- 支給申請様式の自動計算機能付きPDF導入
- 確認行為の廃止(受付制)により、迅速な提出が可能
■ 注意点
- eラーニング訓練はHP等への掲載義務あり
- 教育機関による訓練提供の場合、定款等に明記が必要
- 不正受給に対しては返還義務と社名公表措置が適用されます
■ 社労士から一言
令和7年度の事業展開等リスキリング支援コースでは、話題の生成AI研修も対象となり、中小企業にとって実践的かつ効果的な人材育成手段となっています。特にデジタル人材の確保・育成が急務となるなか、外部研修を活用した従業員のスキルアップは経営基盤の強化にも直結します。
助成金の活用は企業の戦略実行における大きな後押しとなります。当事務所では、訓練計画の立案から申請サポート、就業規則の整備まで丁寧に支援いたします。まずはお気軽にご相談ください。