厚生労働省が所管する「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)」は、企業が計画的に実施する職業訓練に対して、訓練経費や賃金の一部を助成する制度です。
■1.人材育成訓練
【概要】職務に関連した専門的知識・技能を習得させるための10時間以上のOFF-JT訓練。
【対象者】雇用保険被保険者
【助成内容】
- 賃金助成:中小企業 1,000円/時(最大1,200円)、大企業 500円/時(最大600円)
- 経費助成:中小企業 75%(最大85%)、大企業 60%(最大70%)
【加算要件】訓練後の賃金5%以上の引上げ、資格手当による3%以上上昇など。
■2.認定実習併用職業訓練
【概要】厚生労働大臣認定のOFF-JT+OJTの訓練。
【対象者】主に15歳以上45歳未満の雇用保険被保険者
【助成内容】
- OFF-JT:中小企業 1,000円/時(加算あり)、経費助成 60%(加算あり)
- OJT:中小企業 25万円/人(最大30万円)、大企業 14万円/人
■3.有期実習型訓練
【概要】有期契約労働者の正社員転換を目的としたOFF-JT+OJT訓練。
【対象者】有期契約・派遣・短時間労働者
【助成内容】
- OFF-JT:中小企業 1,000円/時(加算あり)、経費助成 最大100%(通常75%)
- OJT:中小企業 13万円/人(最大15万円)、大企業 12万円/人
【留意点】正社員転換が前提。目的明確化が必要。
■ 共通要件・手続き
- 計画届を訓練開始の6か月前~1か月前に提出
- 訓練修了後2か月以内に支給申請
- 訓練時間10時間以上、経費全額企業負担
- 訓練期間中の賃金支払いが必要
■ 申請書類の簡素化・推奨体制整備
- 自動計算機能付き申請様式導入
- 職業能力開発推進者の選任・事業内職業能力開発計画の策定推奨
■ 注意事項
- eラーニング訓練はHP掲載が必要
- 教育機関は訓練目的を定款等に明記
- 不正受給時の返還・公表制度あり
■ 社労士から一言
人材開発支援助成金は、労働者のスキルアップと企業の生産性向上を両立させるために非常に有効な制度です。令和7年度の制度改正では、申請書類の簡素化や助成率の加算など、より利用しやすくなっています。正社員化やスキルアップを目指す中で、ぜひ本助成金を活用し、戦略的な人材育成につなげていただければと思います。